宝寿院
『平安末期の阿弥陀像〜境内の枝垂れ桜も見事〜』

高級住宅街で有名な世田谷区成城の程近く、喜多見に宝寿院がある。ここは東京とはいうものの、まだ田畑がありのどかなところだ。
寺号は「長徳山宝寿院光伝寺」、一般には光伝寺と言われ、永禄12年(1569)西誉玉公和尚の開山である。現本堂と庫裡は寛延3年(1750)のもので、江戸期の建物で本堂・庫裡そろって残っているのは珍しい。徳川三代将軍家光からの御朱印状も保存されている。
この寺での見どころは、本尊の阿弥陀如来坐像である。平安時代末期(12世紀)の造像で、天台宗の僧恵心(源信)の作と伝えられるが定かではなく、いかにして同寺に持ち込まれたのかも謎である。この像は昭和56年世田谷区有形文化財に指定され、翌年の修復により往古の立派な姿を取り戻した。像高約60センチ、檜(ひのき)材で造られたこの像は、ほっそりとやさしく気品を漂わせ、平安末期の仏像の特色をよく示している。
境内には樹齢約250年の百日紅(さるすべり)や梅があり、四季折々に美しい花を咲かせ参拝者の目を楽しませてくれる。特に枝垂れ桜は見事で、一見の価値がある。

浄土宗新聞平成元年2月号より記載

寺院情報
寺院番号 13-404
山号 長徳山
院号 宝寿院
寺号 光伝寺
所在地 〒157-0067 東京都世田谷区喜多見五丁目13番10号
TEL 03-3416-5776
FAX 03-3416-7833