大昌寺
土方歳三ゆかりの寺〜新選組を陰で支えた佐藤家〜
江戸幕末、新選組の池田屋斬りこみはあまりにも有名な話。その新選組の副長を努めた土方歳三は、東京は多摩川と浅川の合流する地、日野の出身。その日野に歳三の実姉が眠る大昌寺がある。
大昌寺の創建は慶弔12年(1607)のこと、讃誉牛秀上人により建立されている。
寺の檀家に佐藤家があるが、当時この地域の名士であった佐藤家に土方歳三の実姉が嫁いでいる。佐藤家は実家の前に佐藤道場を構え、自ら師範代として剣術の指導にあたり、近藤勇、沖田総司ら天然理心流の兄弟弟子を集め剣術の腕を磨いた。土方歳三もまたここで後の新選組の面々と剣術の腕を磨いたという。佐藤氏は土地の名士という身分から新鮮組には入らなかったが、資金面での援助で陰から幕末のヒーローを支えた一人だったと記録されている。
寺は町の中心にありながらも樹齢何百年という大木は繁り、いまなお静寂に包まれ、参詣の檀信徒に安息をあたえている。発願より5年の歳月をかけ、本堂、庫裏の修復を終えた境内は美しく整備され荘厳さをさらに増している。
大きな山門をくぐると、正面に生まれ変わった本堂が悠然と構え、右手には高さ7メートルの鐘桜堂が建つ。参道には六道輪廻の世界(地獄、餓鬼、畜生、修羅、人、天)で苦しむ衆生を6種の姿で救済する六地蔵があり、檀信徒は本尊や墓地へ参拝する前に掌をあわせるという。
この寺の寺宝として「説法色葉集」があるが、これは開山の牛秀上人の直筆といわれているもので、全10巻の古書は東京都の文化財にも指定されている。
綺麗に掃き清められた境内は住職の人柄を表し、参拝する檀信徒の心まで清めている。
浄土宗新聞平成5年8月号より記載
寺院情報
寺院番号 | 13-420 |
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山号 | 三鷲山 |
院号 | 鶴樹院 |
寺号 | 大昌寺 |
所在地 | 〒191-0011 東京都日野市日野本町2丁目12番地の13 |
TEL | 042-581-2125 |