木立に囲まれた300メートルはあろうかという参道の中ほどに、仁王像が納められた山門。さらに進むと樹齢数百年の枝垂れ桜と、大きく枝を張った松に守られるかのように本堂が姿を現す。
今月は千葉県松戸市にある東漸寺を紹介しよう。
文明13(1481)年に創建され、徳川家康により、関東18檀林(だんりん=浄土宗僧侶の修行寺)に列せられた東漸寺は当時隆盛を極めた。その後の廃仏毀釈などによって一時荒廃するが、開草500年を契機として熱心な檀信徒の協力を得、現住職、副住職の尽力により復興が進められ姿を取り戻した。
水戸街道の宿場町として栄えた小金宿。その中心をなした東漸寺には、その歴史から寺宝も多く、一切経や法然上人が所持したといわれる伏鉦、恵心僧都源信筆の25菩薩来迎図、徳川家康公、黄門様で有名な水戸光圀公の書簡のほか、ここでは書きつくせないほど多くの貴重な史料が所蔵されている。
中でもめずらしいのは、上人保持の伏鉦とともに、京都長楽寺から知恩院を経て寄付されたという「円光東漸大師(法然上人香衣御遺像)」。上人往生の後、荼毘(だび=火葬すること)に付すために埋葬されていた墓所から運び出されたときのお姿とされ、肖像画によく見られるふくよかなお顔だちではなく、頬がこけ写実的なその風貌は見る者の目を引きつける。普段はご本尊阿弥陀如来の右(向かって左)に安置されているが、毎年4月25日から27日に行われる御忌まつりの大法要で、稚児行列と共にお輿に乗り町を練り歩く。植木市や露店が建ち並び、多くの人々でにぎわうという。
現在は、整備や警備の都合で、数々の寺宝を見ることは出来ないが、ゆくゆくは拝観できるように、との計画もあるとのこと。
また境内は、梅、桜、あじさい、秋には紅葉も楽しめ、折々の季節を感じることができることから、写生をする人の姿も多く見られる。
【交通】JR常磐線北小金駅下車徒歩5分ほど。
(浄土宗新聞平成11年6月号より)
寺院番号 | 14-132 |
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山号 | 佛法山 |
院号 | 一乗院 |
寺号 | 東漸寺 |
所在地 | 〒270-0014 千葉県松戸市小金359番地の1 |
TEL | 047-345-1517 |
FAX | 047-343-3366 |
URL | http://tozenji.sakura.ne.jp/ |