英勝寺
光圀が寄進した弥陀を祀り 創建当時の面影を残す寺
数多くの史跡が残る街、鎌倉。その街にある英勝寺は、鎌倉唯一の尼寺である。
JR鎌倉駅西口(通称裏駅)から1つ目の信号を右折。5分ちょっと歩くと静かにたたずむ英勝寺が見えてくる。正面はいつも閉ざされ、庫裏のある通用門から中に入るようになっている。 開山は、寛英13年(1636)の11月23日。江戸城を築いた太田道灌の孫で徳川家康の側室、お勝(英勝印)の局(つぼね)が、道灌の屋敷跡に開いた。その際、第1世の住職として水戸の徳川頼房の娘を迎えたことから代々姫住職が継いでいる。
住職さんは、いつも書院にいて、法要は芝の増上寺や鎌倉光明寺からお坊さんが来て、勤める。終わるとお坊さんは書院に行き、御簾(みす)ごしに法要の終わりを報告し、帰られたことから、住職さんといってもやっぱりお姫さまであったのだろうという。倒幕まで同寺は発展を極めた。
明治維新以後、英勝寺も衰退。住職のいない日々が続いた。
本堂は、広いとは言えない9メートル(5間)四方の銅ぶき木造。本尊は、水戸光圀が寄進したといわれる弥陀三尊像だ。堂内は珍しい石畳。また、壁や天井には今なお色鮮やかな鳳凰や天女が舞う。本堂の前に遺溝がある。明治維新に料亭に売却された山門跡だ。山門は町内の民家にまだ残っているという。
本堂を背に、左に鐘楼堂が、また右には英勝院がの御廟がある。御廟には今でも鮮やかな色彩が残り、当時の勢力の強さがうかがえる。多少の修理をした本堂やお堂だが、焼失もせず、創建当時の面影をそのまま残し、県の重要文化財に指定されている。
心を落ち着け、自分を見つめ直すにはぴったりの緑に囲まれた寺。鎌倉散策の穴場を訪れてみてはいかが。
(浄土宗新聞 平成8年11月号より)
寺院情報
寺院番号 | 15-116 |
---|---|
山号 | 東光山 |
寺号 | 英勝寺 |
所在地 | 〒248-0011 神奈川県鎌倉市扇ガ谷1丁目16番3号 |
TEL | 0467-22-3534 |
FAX | 0467-23-8485 |