雲心寺
よみがえる鐘の音名古屋三大仏の1つを安置

地下鉄の出口を出て南へ行くとひときわ緑の濃い場所に着く。ここが今回紹介する雲心寺だ。
木々のおい繁る参道を15メートルほど行くと立派な鐘楼門(2階に鐘楼を備えた門)をくぐる。この門は、太平洋戦争で鐘を供出したが、戦後50年、ようやく新しい鐘が入り、その完成法要が盛大に行われた。十六羅漢にかこまれた鐘が50年ぶりにその響きをよみがえらせた。
小さな噴水のある「心」字形の放生池を見て進むと庫裏や本堂に行ける。
同寺の創健者は近藤武兵衛。商人であった近藤氏は後継ぎに先立たれ、身の不幸を嘆くあまり山伏になり、諸国行脚の旅に出た。たまたま京都鹿ケ谷の法然院で万無和尚に出会い、深く帰依したという。そして名古屋に戻ると志水甲斐守の下屋敷を買い取り、万無和尚を開山として迎え、知多郡清水村(現東海市荒尾町)の慈悲山普門院を同所に移し、遣迎山雲心寺と寺号を変えて元文5年(1740)に開山した。
本尊さまは名古屋三大仏の1つで丈6の阿弥陀と言われるもの。名古屋市の文化財に指定されている。丈6とは1丈6尺のこと(約4.85メートル)であるが、座像のため実際は8尺(約2.4メートル)ほどのお姿だ。

この阿弥陀如来は京都の仏師山本茂助によって制作され、文久2年(1862)に完成した。京都総本山知恩院・阿弥陀堂の本尊さまを模したものと言われ、寄木造りの像に金箔をほどこしており、見るものを圧倒する。
境内には高蔵幼児園があり、子供の無邪気な声が響いてくる。その声を聞きながら阿弥陀さまに手を合わせていたら、妙に心が安らいできた。

平成7年10月浄土宗新聞より記載

寺院情報
寺院番号 22-058
山号 遺迎山
寺号 雲心寺
所在地 〒456-0017 愛知県名古屋市熱田区尾頭町3番19号
TEL 052-671-3570
FAX 052-678-3570