念佛寺
城下町の古刹が祀る重文の阿弥陀如来

伊賀上野城を中心に発展した歴史の町、三重県上野市。松尾芭蕉の生まれた土地として、また伊賀忍者の里としても有名で、旧跡が点在する。念佛寺は、初代安濃津(あのつ)藩主・藤堂高虎が整備をおこなった上野城の防御のために集められたという七力寺の寺院が並ぶ「寺町」の中にある。
寛永元(1625)年、純誉巌公上人によって開かれたと伝えられる寺は、元は伊賀の浄土宗の中核とされ、多くの子院があったという。
美しい組物と彫刻のほどこれた山門を入ると、正面に本堂、右手に総けやき造りの袴腰のついた鐘楼、左手に壮大な六角堂。また、本堂と庫裏との間には檜皮葺きの唐破風形式を持つ大玄関があり、城下町の寺院に合った荘厳な雰囲気をかもしだしている。
慈悲ぶかいお顔だちで、信徒を見守ってきた、本尊の阿弥陀如来は、平安時代末期の作、国の重要文化財指定になっている。年月を経て、落ちついた色彩となった丈六の座像(丈六の座像は約二メートル半)は上品下生(じょうぼんげしょう)の印を結んでいる。
一方、その阿弥陀如来と背中あわせの壁面には、平成7年の大改修の折に掲げられた鮮やかな色彩の釈迦三尊絵図がある。振興美術院鑑査員の里見穎伸画伯の手によるもので、こちらは平成の文化財というところか。
そのほか、歴史のある文化財も多く、お釈迦さまの入滅を描いた涅槃図、『観無量寿経』の世界を表した観経曼陀羅、法然上人のご生涯を描いた絵図、三重県の重文に指定されている浄土宗血脈相承の証「末代念仏授朱印」などの書画、仏像が蔵されている。
境内の六角堂は宝暦(1751−64)年間ころの建築で、内部中央の厨子の中に十一面観音を安置、周囲には子安観音一体と西国、秩父、坂東の観音霊場をあらわす百体の観音菩薩を配し、一堂を巡るとその霊場をすべてお参りした功徳を得るという。
【交通】近鉄大阪線の伊賀神戸駅から伊賀線に乗換え、広小路駅下車、徒歩約3分。

(浄土宗新聞平成10年6月号より)

寺院情報
寺院番号 24-001
山号 光明山
院号 摂取院
寺号 念佛寺
所在地 〒518-0851 三重県伊賀市上野寺町1152番地
TEL 0595-21-0588
FAX 0595-21-1599