東海道本線膳所(ぜぜ)駅から京阪石山線に乗り換えて2つ目の膳所本町駅で降りると、そこが清徳院参道の入口。
開山の時期や詳細は不明だが、慶長年間(1596−1614)に建立された達磨(だるま)堂に端を発しているという。ここに祀られる達磨大師は聖徳太子の御作と伝えられているもので、天平13(741)年に聖武天皇からの勅命によって造られた近江国の国分寺の本尊として祀られていたものだという。しかし、国分寺の衰退や粟津(あわつ)の合戦によって堂宇は荒廃した。たまたま付近を通りかかった木こりが谷間から達磨像を発見し、民家に安置したところ、多くの信仰を集めた。そして大勢の信者が現在の本丸町に達磨堂を建立。達磨山長福寺の開山となった。
長福寺は、その後発展をするが天和3(1683)年に焼失。しかし、達磨像は幸いにも難を免れた。本誉上人は、翌年の貞亨元年11月に現清徳院のある場所に堂宇を建立。その弟子の真誉上人が達磨堂を建立し、布教に努めた。その功績を認めた膳所藩主・本多康慶は、初代藩主側室の清徳院殿の菩提所とし、位牌を納めたことから「達磨山長福寺清徳院」と改称した。また、堂宇建設中、本誉上人は夢で仏さまのお告げを聞き、京都清滝川の底から阿弥陀如来像を引き上げている。この仏像が現在も清徳院本尊として安置されている。
この本尊は高さ四尺(1.3m)とかなり大きめ。寺伝によると『往生要集』を著した恵心僧都源信が一刀三礼によって彫った霊像で、藤原時代末の作といわれ、国の重要文化財に指定されている。金田住職は「応仁の乱によって荒廃した京都の中では消失の恐れがあると、心ある僧が清流に投じたのでは」と推測している。
また清徳院は膳所三十三観音霊場第31番札所にもなっており、霊場巡りの人や膳所藩ゆかりの寺を参拝しようとする人が多く集うという。
(浄土宗新聞 平成11年4月 第386号より)
寺院番号 | 28-409 |
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山号 | 達磨山 |
院号 | 清徳院 |
寺号 | 清徳院 |
所在地 | 〒520-0815 滋賀県大津市膳所2丁目8番1号 |
TEL | 077-524-7236 |
FAX | 077-524-7998 |