清凉寺
元祖おこもりの寺 開山にちなんだ国宝や重文がいっぱい

京都・嵯峨の清凉寺といえば、釈迦堂の名で広く親しまれてるとともに、浄土宗の元祖法然上人が、24歳の時に人々を救う仏教を求めて、同寺の釈尊像の前に7日間おこもりした由緒ある寺院。
仁王門から入った広い境内には、本堂はじめ、阿弥陀堂、一切経蔵、薬師寺、宝物館、弁天堂、狂言堂、聖徳太子殿、法然上人求道青年像、鐘楼、豊臣秀頼公首塚、多宝塔など多くの堂塔が建ちならんでいる。
この本堂に祀られている「三国伝来の生身のお釈迦さま」(国宝)は多くの人々の信仰を集めている。これは同寺の開山である、奈良東大寺の僧であったちょう然(ちょうねん)が中国へ渡った折、インドで釈尊37歳時の生き姿を刻んだといわれる栴檀(せんだん)の香木で作られた像が中国に伝えられているのを見その像を模刻して日本に持ち帰った(985年)もので、完成時にお顔に仏牙を入れた時、1点から血が出て、生身の仏であることを示されたといわれる。昭和28年、この像の胎内から中国尼僧が制作時に入れた、絹で作った五臓六腑封籠品が発見されている(国宝)。同寺はこのちょう然の発願によって建てられることになったが、完成させたのは彼の遺志をついだ弟子の成算で、1016年、ちょう然の没した年であった。
現在の堂宇は江戸期のものが多いが、本堂内には創建から今日に至るまでの数々の歴史をしのばせる品々が展示され、重文指定のものも多い。 また、同寺では毎年4月、狂言堂で国指定重要無形文化財の「嵯峨大念仏狂言」が演じられる。これは鎌倉時代末期円覚上人が庶民に教義を説くために作った狂言という。
このほか3月15日に涅槃会及びお松明式、4月19日にお身拭式、11月の第2日曜日に源氏物語の夕霧際、12月6、7、8の3日間三千礼拝仏名会などが行われている。

浄土宗新聞平成元年12月号より記載

寺院情報
寺院番号 29-489
山号 五台山
寺号 清凉寺
所在地 〒616-8447 京都府京都市右京区嵯峨釈迦堂藤ノ木町46番地
TEL 075-861-0343
FAX 075-861-0310