西雲院
法然縁りの紫雲石と万日念仏道場

京都・大本山金戒光明寺の文殊塔に至る78段の石段を上り、塔に向かって左に折れたところに西雲院(家田隆現住職)はある。開基は元和2年(1616)。宗厳(そうごん)上人という念仏者が金戒光明寺から「紫雲石」を賜り、そこに開創したのが始まりであるという。
承安五年(1175)春、浄土宗を開宗した法然上人は比叡山を下り、京都東山の真如堂に詣でた後、続く丘の上の半畳程の大きさの白河石に腰をかけた。そして、この地が念仏有縁の地であるかどうかを祈念し、念仏を称えられという。するとにわかに紫雲たなびき、光が満ちた。法然上人はこれによりこの地を念仏の道場と定め、白河の禅房(現在の大本山金戒光明寺)を結ばれた。そしてこの座られた石が紫雲石である。
宗厳上人は庵を結び千日の日を区切り別時念仏を修したが、多くの念仏者が集い念仏道場として大いに栄えたという。その後、上人は10000日(約28年間)の別時念仏を発願し、上人の亡き後も弟子たちが相続、さらには40000日の別時念仏を発願し、上人の亡き後も弟子たちが相続、さらには40000日の別時念仏も達成されたという。これにより西雲院は、1名「万日寺」ともいわれる。
夕刻に京都の西山に沈む夕日を正面に見るこの地は、まさに山越えの阿弥陀仏を見る日想観の聖地。多くの念仏者が集い別時念仏に極楽往生を願った姿がしのばれる。

浄土宗新聞平成3年5月号より記載

寺院情報
寺院番号 29-561
山号 紫雲山
院号 西雲院
寺号 西雲院
所在地 〒606-8331 京都府京都市左京区黒谷町121
TEL 075-771-3175
FAX 075-752-1798