念仏寺
落花しきりの沙羅双樹の庭

念仏寺は最古の温泉地として多くの湯治客でにぎわう、兵庫県・有馬温泉の中心にある。
有馬温泉の起源は神代までさかのぼるが、発展させたのは奈良時代の高僧行基で、人々に温泉療養を行うために薬師如来を祀る温泉寺を建立して以来、繁栄をとりもどしたという。念仏寺は創建天文7年。元寺は谷之町にあったが、慶長年間に現在地に移った。ここは見晴らしの良い高台で、太閤秀吉・北の政所の別邸跡といわれている。
現存の本堂は有馬温泉で最も古い建造物で正徳2年(1712)の建立。ご本尊は快慶作と伝えられる阿弥陀仏立像、また法然上人画像「月輪御影(つきわのみえい)」も寺宝として所蔵されている。
念仏寺の初夏の見所は庭に咲く樹齢250年の沙羅双樹の花。1日で散るところから無常を感じる花とされるが、次から次へと咲き、そして散り行く花は苔の庭一面にちりばめられ、耳を澄ますと落花の音もかそけく心澄み渡るという。
花の見ごろは6月中旬から下旬。6月18から20日には一弦琴と沙羅の花鑑賞会が催される。

浄土宗新聞平成3年6月号より記載

寺院情報
寺院番号 33-119
山号 摂取山
院号 光明院
寺号 念仏寺
所在地 〒651-1401 兵庫県神戸市北区有馬町1641
TEL 078-904-0414
FAX 078-904-3374