佛谷寺
2人の上皇の行在所に 〜動乱の時代を見た仏たち〜
三保関は島根半島の先端に位置し江戸時代から北前船の寄港地として栄えてきた。 仏谷寺は港の道から山側に路地を入った先、弥陀ヶ谷と呼ばれる地に静かなたたずまいをみせる。寺の歴史は古く、開基は1200年前。境内の大日堂に安置される古色の美しい薬師如来、日光・月光・虚空蔵・聖観音菩薩の5体の仏像がこの寺の歴史を物語たる。
海に3つの怪火が現れ、波風が荒れ狂った。人々はこれを三火(みほ)と呼び恐れていた。そこに東大寺建立に尽力した僧行基が訪れ、三火を封じるために仏像を彫り一堂を建立した。5体の仏像はまさにその像であり、天平様式を残す貞観時代の作と確認され、山陰最古の木仏像、国指定重要文化財となっている。 仏谷寺は後に弘法大師により真言宗となったが、永正12年(1516)に知恩院の僧順慶により浄土宗となっている。
寺はまた、13・14世紀隠岐島に流刑となった後鳥羽上皇、後醍醐上皇が風待ちのため立ち寄った行在所(あんざいしょ)になっている。今でも港から寺に向かう道が行幸(みゆき)の路と呼ばれており、他に美保小路、月名小路の名も残り都の面影を偲ばせている。また寺には八百屋お七の恋人、小姓吉三の墓がある。伝えによると、お七の処刑後、吉三は発心して「西運」と称して江戸より巡礼の旅に出、各地にお七の地蔵をたてながら元文2年(1737)70歳でこの地で亡くなり、それを葬ったといわれている。
動乱の時代を見守り続けてきた仏谷寺の仏たちに、ぜひ会ってみてはいかがだろう。
平成5年12月浄土宗新聞より記載
寺院情報
寺院番号 | 35-044 |
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山号 | 龍海山 |
院号 | 三明院 |
寺号 | 佛谷寺 |
所在地 | 〒690-1501 島根県松江市美保関町美保関530番地 |
TEL | 0852-73-0712 |
FAX | 0852-73-9003 |
URL | http://www.kotobuki-p.co.jp/kensaku/data/28hu14.htm |