阿弥陀寺
釈迦・弥陀を拝む鞆の大仏

阿弥陀寺がある鞆(とも)は瀬戸内山陽道の中央に位置し、古代から行き交う船の潮待ちの港として栄えてきた。寺社も多く、「鞆の浦古寺めぐり」があるほどで、港町と古都の魅力を兼ねそなえた町である。
阿弥陀寺は永禄8年(1565)に開かれた古刹。寺に参ってまず驚かされるのが本尊の阿弥陀さまで「鞆の大仏」と呼ばれる丈6(約2.6メートル)の座像、元禄時代の作という。造像を発願した中興(ちゅうこう=寺を興隆したことに対して贈られる称号)雲洞上人は、多くの人々を救いたいと願っていたところ、現に阿弥陀さまが現れ、その姿をもとに仏師に願いこの像を作ったという。
仏像には恵心僧都作の御首をいただき、生地は当時の高僧の袈裟に経文を書き記して着せたのちに黒漆を塗り、眉間の白亳には唐の鑑真和尚招来の仏舎利(お釈迦さまの遺骨)を、胸中に経文、胎内には当時の念仏講の過去帳と信者の手によって描かれた百万遍念仏図説が収められているという。
それにより、この像を拝むことにより、釈迦、阿弥陀さま、そして経典までも1度に拝めるということで多く信者を集めている。また、以上のことを何も知らない外国人及び若者でも、接すれば美しい慈悲のお相に心うたれる仏様です。

浄土宗新聞平成3年7月号より記載

寺院情報
寺院番号 38-014
山号 心光山
院号 護念院
寺号 阿弥陀寺
所在地 〒720-0202 広島県福山市鞆町後地1344番地
TEL 084-982-3320
FAX 084-982-3320