北長門海岸国定公園の中心である、山口県長門市の青海島（おうみしま）。この島の大日比に法岸、法洲、法道の大日比三師の念仏道場として知られる西円寺がある。
大日比三師と仰がれる三人の上人は、江戸時代中期から後期に西円寺に住し、念仏教化に挺身（ていしん）した僧で、このうち法岸上人は子供教育に意をそそぎ、子供念仏を始めるなど、世界で最初の日曜学校を開いたことで知られている。また法洲上人によって設計、法道上人によって建てられた現在の本堂は、念仏や聴聞がしやすいようにと、その入口を左右にした珍しい造りで、これが教室の見本になったといわれている。
同寺にはまた、毛利公の菩提寺である萩の大照院から移した桃山建築の名残をとどめる山門、法道上人が夢を見て設計建築した法蔵、法岸上人時代建立の念仏三昧堂である無常院、三師の遺品などが納められた宝物殿、三国伝来の青蓮などがある。
また同寺近くには三師の本廟をはじめ、法洲上人の隠居所、法岸上人が隠栖しその後尼寺となった法船庵、西円寺の開山である讃誉上人が住し、くじら墓を建て供養した向岸寺など参拝見学するものも多い。山陰線長門駅、または仙埼駅からサンデン防長バス通方面行きで大日比下車。
(浄土宗新聞昭和63年9月号より)