徳増寺
―津軽の名刹― 災難知らせる汗かき地蔵
津軽平野の南部に位置する、青森県弘前市は260年にわたり隆盛を極めた弘前藩10万石の城下町。北西に岩木山、東に八甲田山を望み、自然に恵まれた多くの歴史的建造物を残す文化都市でもある。今回は、その弘前の徳増寺を紹介しよう。
この寺は900年の歴史を持つ古刹で現在の岩木山神社がまだ百沢寺(ひゃくたくじ)と言われていた寛治5年(1091)に「百沢寺十坊」の一宇として建立された。当時は徳増院といい、真言宗の寺院であった。
永禄3年(1560)に百沢から3世寺の地に移転、往時の住職・天悦上人を開山とし、浄土宗の寺院となった。さらに慶安3年(1650)、新寺町に移り、浄土宗10カ寺の寺町を形成し、現在に至っている。
三門内には延命地蔵が奉安され、別名「汗かき地蔵」として親しまれている。その由来は、天災地変、災難にあたっては自ら汗をかきその厄難を知らせたという。また「子授け地蔵」とも呼ばれ、霊験あらたかな地蔵として広く信仰されている。
本堂裏の墓地には、自然主義的小説の大家葛西善蔵、明治元年の庄内征討隊長として活躍した山崎清良の墓などがあり、その墓前に森鴎外が訪れたこともあるという。歴史的先達を墓参してみてはいかが。去る10月17日には、かねてから改築を進めていた位牌堂「普摂堂(ふしょうどう)」が完成し、落慶法要となった。約100人の稚児行列が町内を練り歩いた後、厳かに法要が営まれた。本堂と棟続きの位牌堂は「檀家と本尊を結ぶパイプ」と住職は語り、訪れた檀信徒はそれぞれ本尊前で掌を合わせ、新しくなった位牌堂へ参拝していた。
浄土宗新聞平成4年12月号より記載
寺院情報
寺院番号 | 03-002 |
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山号 | 縁亀山 |
院号 | 真月院 |
寺号 | 徳増寺 |
所在地 | 〒036-8214 青森県弘前市大字新寺町111番地 |
TEL | 0172-35-6306 |
FAX | 0172-35-6307 |