義経寺
義経伝説のロマン秘め〜津軽海峡を見おろす寺〜

源頼朝に追われ、奥州平泉の衣川で自刃したといわれる義経が、実は生きて北へ逃れ、渡海したという話が古くからある。それを例証するかのように、ここ東津軽郡三厩(みんまや)村には義経にまつわる話が多く伝えられている。この義経もその名が表すように深い関わりをもっている一つ。

寛文7年(1667)、円空仏で知られる円空がこの地を訪れたとき、海岸の奇岩の上に光るものを見た。その岩は、かつて義経がこの地に逃れ至ったとき、荒れ狂う津軽海峡を前に、観音像をまつり3日3晩の祈願をして竜馬を与えられ渡海できた、と伝えられるところの岩(厩石)で、円空の見た光はその観音像だった。円空はこのいわれを霊夢で知ると、観音像を刻み、観音堂を建立してまつった。これが義経寺の始まりである。

津軽海峡を見下ろす山の中腹に建つ義経寺は、本堂・観音堂・弁天堂があり、また境内にはかつて西国からの北前船などがお守りや重石としていた石の観音像が33体安置されている。
円空仏は秘仏となっているから見ることはできないが、義経と同寺のいわれを刻まれた版木が残されていて、刷ってもらうこともできるので、義経伝説のロマンを求めて訪ねてくる人も多い。
冬の厳しさは格別だが、天気が良ければ北海道も望見でき、近くには竜飛(たっぴ)岬、青函トンネル記念館、また太宰治、吉田松陰などの記念碑もあって、春・夏・秋の観光には適したところだ。

浄土宗新聞平成2年8月号より記載

寺院情報
寺院番号 03-077
山号 龍馬山
寺号 義経寺
所在地 〒030-1732 青森県東津軽郡外ヶ浜町字三厩家ノ上76番地
TEL 0174-37-2045
FAX 0174-37-2498