三佛寺
藤原期の秘仏子年観音 殿様の墓や双盤念仏も

 横浜市街と東名高速道路を結ぶ主要道路の保土ヶ谷バイパス。この保土ヶ谷バイパスの本村インター近くにあるのが、今回紹介する三佛寺だ。
 三佛寺はもともと観音寺と称し、真言宗の寺だった。その後1603年(慶長3年)に 誉檀察(てんよだんさつ)上人によって改宗。阿弥陀・薬師(一説には観音)・地蔵の三堂を一つにしたことから三佛寺と寺号を改めた。
「この寺は、この地を開拓した宅間治部少輔規富(1621年没)が開基なんです」
「宅間家というのは、もともと戦国時代には北条家の家臣で、北条家が滅んだ後、家康についたようです。その後の関が原の戦いの功績によって武蔵・相模・上総国の知行(ちぎょう=土地・財産の直接支配)をする旗本(はたもと)になったようです。今でも歴代の墓所が境内にあり、″殿様の墓″と呼ばれています」
 また、旧小机(こづくえ)領三十三霊場の第二十八番の札所になっている聖観音菩薩(像高51.5センチ)がある。
「これは子年(ねどし)観音と呼ばれており、12年に1回、子年にしかご開帳をしない秘仏になっています。
 損傷が激しかったので、数年前に永久保存のため、修復をしたところ、藤原期(12世紀)作の一木造りと判明しました」
 また毎年10月27日に行われている十夜法要や大晦日の午後11時からは、古くから伝わる″双盤(双盤)念仏″が奉納されている。
 三佛寺に伝わる双盤念仏は、4つの鉦(かね)と一つの太鼓を打ちながらお念仏を称えるもので、檀信徒の双盤講によって受け継がれている。また「神奈川県民族芸能五十選」や「横浜市無形民族文化財」にも指定されています。
 「この双盤念仏は、昔から代々伝わってきた伝統です。ですから、後々の世まで大切に伝承していきたい、守り続けたいですねエ・・・・」
 【交通】相模鉄道線二俣川駅北口から徒歩10分ほど。
 (浄土宗新聞 平成9年12月号より)

寺院情報
寺院番号 15-064
山号 鶴峯山
院号 即相院
寺号 三佛寺
所在地 〒241-0024 神奈川県横浜市旭区本村町76‐4
TEL 045-391-1307
FAX 045-362-7996