新善光寺

源頼朝ゆかりの善光寺如来を祀る
鎌倉から海岸沿いに国道134号線を南下、逗子を過ぎると海浜の街葉山。レジャーの地として知られ、葉山御用邸でも有名である。その御用邸を背に、国道を逗子方面へ向かい葉山大道の交差点を右折、横須賀方面へ。トンネルを出ると左側に欝蒼(うっそう)と木立に囲まれた参道が見えてくる。新善光寺である。
鎌倉幕府を開いた源頼朝は1197年、長野の善光寺の再建慶讃に参詣した折り、善光寺如来のご分身を請来、これを北条時政が鎌倉名越の山荘に祀っていた。1年半後、頼朝が落馬により急死した。この死の原因を善光寺如来と結びつける声があったことから、時政の後を受けた名越朝時が一堂を建立、新善光寺と称したと伝えられている。
しかし鎌倉幕府の力も、足利の勢力に制圧され日々衰退をたどり、名越の新善光寺もまた同じように影をひそめていった。そして、15世紀中頃、この法灯を継ぐべく、時の住職蜜道和尚が、現在地に移転を計画、17世紀中頃の識道上人の時に堂宇の建立がなった。かれこれ百年後の江戸中頃、18世大鳳和尚で本堂等は一新され、ほぼ現在の様子を構成した。
本堂は禅宗様式で、内陣が室町時代、外脇陣が江戸時代に建立されている。この内陣は、厨子、四脚門と共に県の重要文化財に。前立三尊如来、境内の天然樹林は、町の重要文化財に指定されている。また寺宝として、桜井増雄氏の「富嶽櫻照図」(内陣大欄間画)、石田粧春氏の「富貴花」(書院大襖絵)、と多数の美術品があり、自然の中の美しさとともに建物をも飾っている。
天皇、皇后両陛下をはじめ秋篠宮殿下夫妻など、皇室の方々が御用邸に滞在中、子安の里からこの新善光寺にも散策の足を延ばされることもあるという。都心から車で1時間位、自然の静寂に心の安らぎを感じ、散策をしながらゆっくりとした時間を過ごすのも気持ちが良いものだ。
【交通】JR横須賀線逗子駅から衣笠行きのバスで20分。滝ノ坂停留所下車
(浄土宗新聞平成7年6月号より)

寺院情報
寺院番号 15-155
山号 不捨山
院号 摂取院
寺号 新善光寺
所在地 〒240-0115 神奈川県三浦郡葉山町上山口1368番地
TEL 046-878-8154
FAX 046-878-6330