大仏寺
日本三大仏高岡大仏〜幾多の類焼を越え万民に慈眼を〜

富山県富山市に続く第2の都市、高岡市は梵鐘や仏具などの全国の約70%の青銅を生産する銅器の街。この街のほぼ中心地に、日本三大仏の一つ高岡大仏がある。全国でも奈良、鎌倉大仏に続く大きな大仏で、この高岡大仏を祀る大仏寺を紹介しよう。
この高岡大仏の歴史は非常に古く、鎌倉大仏の建長4年(1252)よりも30年前の承久3年(1221)ごろに1丈6尺の木造仏の体内に金銅仏を納め建立されたもの。大仏寺もこのころか、それ以前に建立させたと思われるが、相次ぐ類焼により開基を記すものが無く、正確な時期は不明。
延亨2年(1745)荒廃した寺を、同市坂下町の極楽寺住職、等誉上人が弟子良歓を勧進職とし、同年9月に木造の大仏とともに再建した。爾来高岡市民に広く親しまれてきたが、文政4年(1821)の大火で焼失、体内に納められた金銅仏のみが大火から免れた。
その後、再び1丈6尺の木造座仏を再建し、光背の頂上に三重の宝塔を据え、ここに金銅仏を安置し、十二光仏、千体仏を配して天保12年(1841)年に完成した。しかし、これもまた明治33年(1900)の高岡大火により焼失してしまった。
後、信徒世話頭の松木宗左衛門氏と極楽寺33世良禅上人が、不燃の大仏の鋳造を発願、昭和7年(1932)悲願の大円輪の光背を備えた鋳造仏の建立をはたし、翌年5月には盛大に開眼式が厳修された。
現在高岡市民及び全国の信徒に親しまれている高岡大仏は、総高15・85メートル、座高7・43メートル、総重量65トンもの大きなもので、日本三大仏の中では大きさこそ3番目になるが、背に大円輪の光背をもつ姿も珍しく、上品上生の阿弥陀定印を結ぶ姿は、歴史古く荘厳な趣をみせる。この高岡大仏の原型、鋳造とも高岡工人の手によるもので、歴史を誇る伝統の高岡銅器の象徴的な御姿は、仰ぎ見る者に優しく慈眼を注ぎ、市民の安全を日夜守っている。
浄土宗新聞平成5年9月号より記載

寺院情報
寺院番号 18-004
山号 鳳徳山
寺号 大仏寺
所在地 〒933-0039 富山県高岡市大手町11番29号
TEL 0766-23-9156
FAX 0766-23-9156