無縁寺

県の北側、富山市に接して海を臨む滑川市、その中で旧北陸街道に面した細長い両側町が無縁寺のある中町です。

天明3年(1783)滑川町惣絵図(田村家蔵)中町町内南側に無縁寺が載っています。

文化3年(1806)「浄土宗由来帳」(石川県立博物館蔵)によると、この寺は傾入が草庵を結び6世怒哲の代、正徳5年(1715)11月5日、加賀藩前田家から寺号を拝命したとあります。

その後天保5年(1834)9月18日、天保9年(1838)、安政6年(1859)と全町焼尽する火災が続き、由緒書類等を失ってしまいました。 16世辨仲の代、元治元年(1864)過去帖を整備するも、17世雪願の代、明治14年(1881)741戸焼失する権次郎焼きに遭い、その後も2回にわたって罹災する不運が続きました。

その後雪願和尚は県外の寺に移住し、18世静観も同じように当地を去ったため、無縁寺は無住になってしまいましたが、明治32年(1899)に尼僧寺院として再興することとなりました。

19世説明尼の代、明治42年(1909)ようやく再建するものの、本堂・庫裏は襖で仕切っただけの普請であったそうです。

22世明了尼の代、昭和36年(1961)に現在の本堂と2階建ての庫裏が再建され現在に至っています。

尼寺になって110年、最盛期には7人居た尼僧さんも、現在では23世一人のみです。

これが尼僧界の現実と嘆きながらも、ともあれ寺役を護りながら尼寺らしく在りたいと願っています。

寺院情報
寺院番号 18-082
山号 大悲山
寺号 無縁寺
所在地 〒936-0036 富山県滑川市中町1437
TEL 076-475-4193