高月院
松平家の菩提寺 城郭造り思わす本堂

徳川家の祖先松平氏は、西山河地方の山間地、松平郷(豊田市)に土着した土豪であった。約600年ほど昔、徳阿弥という旅の遊行僧が松平郷の太郎左衛門家の娘婿となり、親氏と名乗ったのが松平氏の初代となった。
高月院は本松山高月院寂静寺と称し、貞治6年(1367)松平家の菩提寺として創建。当初は修験の寺であったようだ。本堂の北西には葵の紋が刻まれた石扉が見え、石垣に囲まれた墓所がある。中央に初代親氏、右に二代泰親、左に四代親忠夫人の墓石が並んでいる。知恩院の住持にもなった超誉存牛は、四代親忠の子で、高月院の歴代の1人。
総門に立って山門、本堂をみたところが美しい寺だ。本堂に上がってみると普通の寺とどこかが違う。内陣と下陣がまっ平らで結界もない。しかも鶯張りの板縁がめぐらされている。当院は、松平氏の館跡から約300メートル東にのぼった山麓にあり、昔、館が攻められた時などは、高月院へ逃げたことが何回となくあったと伝えられている。あらためて山門の石垣と本堂をみると、城郭造りのようにみえた。
名古屋鉄道東岡崎駅から足助線バス九久平下車。さらに、タクシーで約10分。

(浄土宗新聞平成元年4月号より)

寺院情報
寺院番号 21-127
山号 本松山
院号 高月院
寺号 高月院
所在地 〒444-2202 愛知県豊田市松平町字寒ケ入44番地
TEL 0565-58-1623
FAX 0565-58-1623