本誓寺
総本山知恩院直轄寺院 古文書類や信長の鐘も

岐阜県の県庁がある岐阜市。戦国の武将、斎藤道三の、また織田信長の居城・岐阜城があることでも知られ、さらに、長良川の鵜飼は全国的に有名だ。
本誓寺開山は文安3年(1446年)頃、演誉上人によって現在の岐阜県羽島郡岐南町に開かれた。その後、享禄年間(1528〜32年)に現在の地に移転。中興(衰えた寺を再び盛んにすること、またその人)釈誉上人によって、天正9年(1581年)に本誓寺と寺名が変わった。
この釈誉上人の母親は、徳川家康の、加納城主奥平信昌公の乳母であった。その母親や信昌の手厚い保護を受け、本誓寺の繁栄ぶりは目を見張るものだったという。そのためか、本誓寺は総本山知恩院の直轄寺院として美濃国を代表する寺院となった。知恩院や寺社奉行(幕府の職名)から出される伝達事項は、初めに一国一地方の知恩院直轄の寺に伝えられ、その後、その国やその地方の各寺院に伝えられる、という組織があった。その直轄寺院を本誓寺が担っていた。
これらのことが分かるのも、これらの活動を裏付ける古文書類や資料がおよそ600点あまり現存しているからだ。その中には、福島正則安堵(所有・領有権などを確認、認証)状や本田正信書状などがあり、関が原の合戦当時、交通の要所にあたる寺院としても注目されていたようだ。
また、同寺には、織田信長ゆかりの梵鐘もある。信長の命によって、尾張の甚目寺にあった鐘を岐阜城に納めさせ、その後の落城の折、本誓寺が引き取ったという“信長公報時の鐘”が玄関脇においてある。すでに割れており、音色を聞くことはできないが、当時を偲ぶことはできよう。
【交通】JR岐阜駅からタクシーで10分ほど。
(浄土宗新聞平成9年7月号より)

寺院情報
寺院番号 25-001
山号 瑞華山
院号 感應院
寺号 本誓寺
所在地 〒500-8082 岐阜県岐阜市矢島町二丁目46番地
TEL 058-263-9545
FAX 058-263-9546