檀王法林寺
了慧上人・袋中上人の足跡に子どもたちの歓声が響く。

知恩院にほど近い京阪三条駅の北側、にぎわう三条通りに面して「浄土宗だん王」と刻まれた石柱の立つ山門がある。ここが檀王法林寺(信ヶ原雅文住職)の入口だ。
境内でまず目につくのは重厚な造りの四天王楼門と、「派祖望西楼」の石碑、そして本堂右手にある袋中(たいちゅう)と記された大きな「南无(無)阿弥陀仏」の碑だ。
寺は720年ほど前の文永9年(1272)に、望西楼了慧(ぼうせいろうりょうえ)上人により「悟真寺」として創建。その後一時、応仁の乱などで廃寺となったが、慶長16年(1611)、袋中上人が「檀王法林寺」として復興、その弟子である團王(だんのう)上人により基礎がきずかれ、更に念佛信仰の充実発展に努められた。
詳しい寺名は「朝陽山栴檀王院無上法林寺」というが、地元では親しみをこめて「だんのうさん」と呼んでいる。
了慧上人を「派祖」というのは、三祖良忠上人の門下から分かれた六派の一つである「三条派」の祖であることを指す。その教えは法然上人の教えを忠実に守るもので、特にその書、『漢語燈録(かんごとうろく)』『和語(わご)燈録』は、法然上人のお言葉を集めたもので、貴重な史料となっている。
一方、袋中上人は諸国を巡り念仏の教えを極め、後に中国に渡ろうとしたが叶わずに琉球(沖縄)へたどり着かれ、そこに浄土宗を伝えている。そして帰国後、京都に上り念仏道場としたのが檀王法林寺であった。境内奥には上人を偲ぶ御廟(ごびょう)もある。
歴史のある寺だが、現在は子どもたちの声であふれている。前住職の信ヶ原良文夫妻が戦後の混乱期に、労働条件の厳しい家庭の母親を助けようと境内に保育園を開園、続いて日本で初めての夜間保育園を創設し、また地域児童のために「だん王児童館・子ども図書館」を設け、仏教福祉教育の拠点ともなっている。
場所は三条大橋東詰。

寺院情報
寺院番号 29-017
山号 朝陽山
寺号 檀王法林寺
所在地 〒606-8387 京都府京都市左京区川端通り三条上る法林寺門前町36番地
TEL 075-771-0870
FAX 075-771-0010
URL http://www.dannoh.or.jp/