地蔵寺
信仰を集めて成立都の安全祈った桂地蔵

歴史の街、京都。その西部を流れる桂川に面して名園桂離宮がある。八条宮智仁親王が元和年間(17世紀はじめ)に造営した別邸で、明治になり離宮となった。風光明媚な場所で、いまでも緑の多く残る土地である。
その桂離宮からほんの数分の場所に、「京の六地蔵」の一体をまつる桂の地蔵寺が位置する。
寺の開創は明らかではないが、この地で平安時代の貴族桂大納言源経信が桂河原を月の名所として山荘を営み、愛でたという来歴がある。その後、現在も地蔵寺の薬師堂に安置される石造り薬師如来(鎌倉初期の作)がまつられて信仰を集め、やがて寺として成立をしたといわれている。
普段は静かな地蔵寺だが、8月22、23日の地蔵盆には、京の六地蔵巡りをする数万の人であふれかえる。京の六地蔵は、平安時代の学者で歌人の小野篁(おののたかむら)により仁寿2(852)年に造られたと伝えられる6体の地蔵菩薩のこと。末法の世において地蔵菩薩の慈悲の利益をこうむろうとの発願であったという。
当初は伏見六地蔵(浄土宗大善寺)に6体があったが、後白河天皇が深くこの六地蔵を信仰し、京の守護と民の安全を祈るために平清盛に命じ、清盛は西光法師に命じて京に通じる街道の入口6カ所に一体ずつまつることになったという。そしてこの六地蔵を巡る風習が起こっている。
地蔵寺のお地蔵さまは、山陰道の入口を守る彩色もあざやかな、身の丈約2メートルの大きなみ姿。左手に宝珠(ほうじゅ)を、右手に錫杖(しゃくじょう)を持って微笑んでいる。
8月の地蔵盆には民間に伝承される「六斎(ろくさい)念仏」の奉納も行われる。
ちなみに、他の5体は、伏見六地蔵(前記・奈良街道)、鳥羽地蔵(西国街道)、常磐地蔵(周山街道)、鞍馬口地蔵(鞍馬街道・浄土宗上善寺)、山科地蔵(東海道)にそれぞれまつられている。
(浄土宗新聞平成11年3月 第385号より)
【交通】阪急京都線桂駅から東へ徒歩15分。

寺院情報
寺院番号 29-182
山号 久遠山
寺号 地蔵寺
所在地 〒615-8071 京都府京都市西京区桂春日町9
TEL 075-381-3538