法善寺
商売繁盛・縁結びなど庶民信仰の寺

大阪・道頓堀から千日前に折れてすぐ西側にある飲食店街、いわゆる“法善寺横丁”の中央付近に歌や映画で有名な「法善寺」がある。
昭和5年、織田作之助の『夫婦善哉』で全国に知られるようになったこの寺は、慶長2年(1597)、琴雲上人によって現在の天王寺区上本町に創建されたが、寛永14年(1637)、当時住職であった専念上人が金毘羅天王懇伝の故事によって、現在の南区難波に移築された。
同寺はまた「千日寺」とも称されたが、これは移築後に無縁仏供養のために千日の念仏回向が行なわれたことから称されたもので、千日前の称の起源ともなった。井原西鶴の『好色一代男』に「9日は母人13年にあたり千日寺へ石塔を立、心ざし仕候」と出ている。
同寺のご本尊は阿弥陀如来だが、境内にある金毘羅堂、水かけ不動(西向不動明王)への庶民の信仰は篤く、商売繁盛や芸事上達、縁結びなどを願って、地方からの参拝者も多い。また同横丁の露路には『夫婦善哉』の文字碑、西田当百の川柳碑もある。
交通は、近鉄、地下鉄御堂筋線、同千日前線の「なんば」駅から徒歩5分。

(浄土宗新聞昭和63年3月より(松山誡堂記)

寺院情報
寺院番号 32-002
山号 天龍山
寺号 法善寺
所在地 〒542-0076 大阪府大阪市中央区難波1丁目2番16号
TEL 06-6211-4152
FAX 06-6211-4161