神門寺
いろは寺で親しまれる弘法大師ゆかりの寺

「いろはにほへとちりぬるを……」。今様式のかな歌として親しまれている47文字の「いろは歌」。その弘法大師空海真筆を蔵し「以呂波寺(いろはでら)」の名で親しまれている神門寺(かんどじ)を島根県は出雲市に訪ねた。

神門寺は天応元年(781)、光仁天皇の勅願所として創建。その昔、地元の豪族・神門臣(かんどのおみ)が、この付近に出雲大社の神門を建立したことに由来するという寺名が、いかにも神の国・出雲の古刹らしい。
仁王門をくぐると唐破風造りの堂々とした本堂、左手には観音堂と弘法大師堂が。2世に伝教大師最澄を、3世に弘法大師を仰ぎ、かつては7堂伽藍を具えた出雲国随一の密教寺院だったという。浄土宗になったのは、第3祖良忠上人の弟子良空上人が38世となってからで、出雲の守護・塩冶(えんや)氏、毛利氏などの外護を受け、山陰屈指の念仏道場として栄えた。
寺宝の「いろは歌」は、香川県の善通寺、高野山に伝わるものとならぶ真筆。近くの旧家で航海安全の祈願文が見つかっていることなどから、804年の渡唐前に空海が当寺を訪れ、その滞在中に書いたものと推される。さらに本堂裏手には「この世から文字が失われた時に掘り返してみよ」と言い添え、自ら裏に「いろは歌」を刻んだとされる、直径60cmほどの丸みを帯びた「弘法の石」も。浄土宗としては珍しい“弘法大師ゆかりの寺”だ。境内にはまた、出雲守護で鎌倉幕府の御家人、1333年のいわゆる「建武中興」を支えたことでも有名な塩冶判官高貞公の墓所もある。出雲には高貞公を慕いしのぶ人が多く、常に参詣者が絶えないという。』

(浄土宗新聞平成11年2月 第384号より)

【交通】皿山陰本線出雲市駅からタクシーで約5分。

寺院情報
寺院番号 35-001
山号 天応山
寺号 神門寺
所在地 〒693-0021 島根県出雲市塩冶町821番地
TEL 0853-21-0698
FAX 0853-21-0698