誓願寺
『キリシタン宣教阻止に一役』

西海国立公園の中心である、長崎県平戸市。古くは遣隋使や遣唐使の寄港地、また隠れキリシタンの里としても知られているこの地に、誓願寺がある。
天文11年(1542)、宝誉上人の開山とされるが、特に第五世源誉上人は豊臣秀吉の命を受けて、キリシタン宣教を阻止するために当山の住職となり、その後、数多くの末寺が建てられた。平戸の中心部を流れる鏡川にかかる石橋を渡ると、数百年を経たと思われる数本の杉の大木の向こうに、城郭を思わせる立派な石垣にはさまれて、参道が続いている。参道を石垣にそって左右に折れ、登りつめたところが山門で、正面に江戸時代に造られた本堂、左手に位牌堂がある。
また同寺は、藩主松浦家とも関係が深く、延宝年間に松浦宗英公が実母、永昌院殿の菩提のため寄進した紺紙、金泥、銀泥の浄土三部妙典四巻の写経や、松浦観中公寄進の、紐差の一本堂(普門寺)を建てた大杉の枝で作ったとされる、百万遍大数珠一連などが寺宝として残っている。また、境内にある大きなソテツが、南国らしい風情をかもしだしている。

浄土宗新聞昭和64年1月号より記載

寺院情報
寺院番号 44-042
山号 五劫山
院号 引接院
寺号 誓願寺
所在地 〒859-5153 長崎県平戸市戸石川町410番地
TEL 0950-22-2545
FAX 0950-22-4964